Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

中山可穂『猫背の王子』  ★★★★★

猫背の王子 (集英社文庫)

猫背の王子 (集英社文庫)

自分とセックスしている夢を見て、目が覚めた―。女から女へと渡り歩く淫蕩なレズビアンにして、芝居に全生命を賭ける演出家・王寺ミチル。彼女が主宰する小劇団は熱狂的なファンに支えられていた。だが、信頼していた仲間の裏切りがミチルからすべてを奪っていく。そして、最後の公演の幕が上がった…。スキャンダラスで切ない青春恋愛小説の傑作。俊英の幻のデビュー作、ついに文庫化。(Amazon

 これ……2012年あたりの年間ベストにも入れたんだけど本当にすごいよね……よくこんなもん書いたよね……若さかな……中山さんがデビューしたのが1993年、生年は1960年だから作家としては遅咲きな方なんだけどさ。それにしてもこのエネルギーどっから出てきたんだよって思うよね。いやー。面白かった。ブックオフで見かけてつい買ってしまったんだけど日本に戻ったら定価で買い直すわ。

 松浦理英子『裏ヴァージョン』と並ぶやおい小説だと思いますね(男同士以外の関係を表すのに適切でないのはわかっているのだが、適切な言葉を探すことができない)。ミチルとトオルがね。続編の『天使の骨』は悪くないんだけど、この本一冊で十分だと思うよ。後書きで、死ぬ前にもう一作書きたいって言っていたから、それはぜひ書いてほしいけれども。いやーこれ大変でしょ、このテンションは一度限りのものじゃないかなあ……。

 

愛の国 (単行本)

愛の国 (単行本)

 と思ったらシリーズ完結してた!!!! 読まねば!