Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

米原万里『旅行者の朝食』  ★★★★

その名を聞いただけでロシア人なら皆いっせいに笑い出す「旅行者の朝食」というヘンテコな缶詰や、数十年前たった一口食べただけなのに今も忘れられない魅惑のトルコ蜜飴の話、はたまたロシアの高級輸出品キャビアはなぜ缶詰でなく瓶詰なのかについての考察や、わが家を建てる参考にとはるばる神戸の異人館を見に行くも、いつのまにか食べ歩きツアーになっていたエピソードなど、ロシア語通訳として有名な著者が身をもって体験した、誰かに話したくなる食べ物話が満載です!(Amazon

 面白くないわけがない。ユーモアと教養とエネルギーを持ち合わせた人は素敵ですね。早すぎる死を心から悼みます。
 中でもプロシアのフリードリッヒ・ウイルヘルム一世とフリードリッヒ大王は熱心だった。1756年からの七年戦争で、プロシアと戦火を交えたスウェーデンはジャガイモを自国に持ち帰る以外の戦果が無かったので、この戦争を「ジャガイモ戦争」と読んだくらいだ。ルイ16世治下のフランスでジャガイモの普及に尽くしたオーギュスト・パルマンチエは、この戦争で五回もプロシアの捕虜になったおかげでジャガイモの美味しさに気付かされたのだった。(P70)

「食べるために生きるのではなく、生きるためにこそ食べる」「生きるために食べるのではなく、食べるためにこそ生きる」、私は前者だなー。笑