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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

マリオ・バルガス=リョサ『都会と犬ども』  ★★★★★

マリオ バルガス=リョサ
新潮社
¥ 3,024
(2010-12)
 
厳格な規律の裏では腕力と狡猾がものを言う、弱肉強食の寄宿生活。首都リマの士官学校を舞台に、ペルー各地から入学してきた白人、黒人、混血児、都会っ子、山育ち、人種も階層もさまざまな一群の少年たち=犬っころどもの抵抗と挫折を重層的に描き、残酷で偽善的な現代社会の堕落と腐敗を圧倒的な筆力で告発する。’63年発表。(Amazon

 こいつぁすげえ!!

 スペイン語の教授にバルガス=リョサでオススメするとしたら何ですか、と聞いて返ってきたのがこれ。やー買ってよかった。色んな意味で超面白かった。

「君はぼくのたったひとりの友だちだよ。今まで知りあいは何人かいたけど友だちはいなかった。むろんそれも外の話で、ここではそんな者さえいなかったんだ。一緒にいて、楽しく話していられる友だちって君だけだよ」
「なんだよ、それ。まるでおかまの恋の告白みたいだぜ」

 ネタバレだと思い込んでいた一文が結局本来の意味でのネタバレではなくて、最後まで読み切った今呆然となった。それをさておいても本書の解説は読了後に読まないといけない部類のものなので、皆様お気をつけ下さい。本自体の感想としてはとても面白かった、という月並みなものになってしまうんだけど、これがBL/やおい視点でも十分に楽しめる作品であることは太鼓判を押しておく。

 解説の、技法について述べている408ページ下の部分は先に読んでもいいかもしれない。でもバルガス=リョサがややこしい書き方をする人だってことさえ分かっていれば、この本程度の視点数とシャッフルだったら、小説を読み慣れている人には何の問題もないだろうので、やはり本編を読もう。

 411ページからの文章は、バルガス=リョサについての端的な説明となっているので、ここは先に読んでおくべきかもな。そのへんの予習は木村榮一ラテンアメリカ十大小説』が一番易しそうな気がします。が、紹介されている作家達がややこしい処理をするため、あらすじの説明が不可欠で、それによって純粋に話の筋を楽しみたい人へのネタバレになってしまう、という事態が起きています。だから小説を読み慣れている人はまず本編を読もう。2部に突入さえすれば一気だから、みんな1部を乗り切るんだ。

『都会と犬ども』、ノーベル賞作家であるバルガス=リョサを読んでみたいなあ〜と考えている(私のようなミーハーな)人には、最適の入門書かと思われるから、みんな、読もうぜ。士官学校の寮にて15、16歳の少年達が繰り広げるホモソーシャル小説と言っても過言ではないぜ。でも普通につらいからハッピーを期待して読んではいかんぜ。あまり触れる機会のないペルーという国の(過去の)内情が写しとられている……本書が舞台となった士官学校で1500冊焚書されたエピソードが本当であれば、そのはずなので、そのあたりも面白いぜ。南米大陸(スペイン語圏?)の男ジェンダー価値観は結構きついから、ダメな人はダメだろうと思うけど。というかこれがダメだと南米小説あらかたダメだろうけど。

 無教養な読者でもストーリーや書かれ方、キャラクターなどが色々強烈で楽しめたので、バックグラウンドを勉強する前にまず読んでみるといいと思います! 解説にも書かれていたラスト付近の現在過去を混ぜた台詞の処理の仕方とか面白いです!

『緑の家』を読むべきだよなー。どしよっかなー。今ならAmazonに頼んで弟に持って来てもらうことが可能なんだよなー。でもただでさえ色々頼んでんのに申し訳ないなー。本社に会社で使いそうな本を頼む時、一緒に混ぜてもらおうかなー。笑

 

 ミステリ的仕掛けに慣れている人間が「作品の終わり近くではじめて二人が同一人物であることを明かすのである」なんて書かれたら、物理的に同一人物だったと思ってしまうじゃねーか!! 比喩か!! 比喩かよ!! 読み方完全に間違えたよ!!!

 だってラテンアメリカ小説では何が起こってもおかしくないと思って……本書は一貫してリアル寄りで書かれていたけど、そこだけは騙されてるのかなと思って……間違えたわ…………。