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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

小川洋子『密やかな結晶』  ★☆

記憶狩りによって消滅が静かにすすむ島の生活。人は何をなくしたのかさえ思い出せない。何かをなくした小説ばかり書いているわたしも、言葉を、自分自身を確実に失っていった。有機物であることの人間の哀しみを澄んだまなざしで見つめ、現代の消滅、空無への願望を、美しく危険な情況の中で描く傑作長編。(Amazon

 小川洋子の好きな要素がよくわかる一冊だったけど、これで終わりなのか。これ系統の話は短編の方がいいんじゃないのかな、薬指の標本みたいに。本にしたらどのくらいの厚さなのかちょっと分からんが、あまりに呆気ないなー。
 小川さんは割と倫理的にアウトなフェティシズムをお持ちだと思いますが(特に中年男性と少女のSM)、品のある感じにまとまるからいいですね。笑 日本の現代女性作家の中では一番エロスを感じる(大して読んでないけど)。物や人を閉じ込めて結晶化するの、本当にお好きですよね……。
 小川洋子の長編なら、あのチェスのやつが一番面白かったかなと思う。あれもナチュラルに少女が強姦されてましたけど。短編集だと『海』が全然楽しめなかった記憶があるので、普通の話をやるよりは、標本の話を書いていらっしゃる方が好きです。文章はいつも綺麗だなと思っている。