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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

大崎善生『アジアンタムブルー』  ★★★

国内現代小説
葉子を癌で失ってからというもの、僕はいつもデパートの屋上で空を見上げていた―。万引きを犯し、衆人の前で手酷く痛めつけられた中学の時の心の傷、高校の先輩女性との官能的な体験、不倫による心中で夫を亡くした女性との不思議な縁、ファンの心を癒すSMの女王…。主人公・山崎が巡りあった心優しき人々と、南仏ニースでの葉子との最後の日々。青春文学の名作『パイロットフィッシュ』につづく、慟哭の恋愛小説。(Amazon

 ユーカが展覧会の話をしだしたときに何だかんだでこみあげるものがあったんですけど、主人公と葉子が何の不自由もなくフランス人と会話しているのを読んで目が覚めてしまった。英語じゃないと思うんだ。英語じゃない言語をあれほど流暢に操る日本人って、本当に滅多にいないと思うんだよ。思えば、彼らがヨーロッパで撮影旅行を敢行したときも、一体誰が相手を集めるんだよ、夢物語じゃねーのかとケチをつけていたんですけど。
 パイロットフィッシュより文章がこなれて、構成的にも読みやすくなってるのは感じる。パイロットフィッシュは結構場面の切り替わりが多くて混乱したような覚えが……。中身あんまり覚えてないんだけど、前作の時点で葉子の話出てたっけ? 続編て形で繋げてよかったのかこれ。パイロットフィッシュ⇔アジアンタムブルーの登場女性について互いに言及してる場面が全然ないように思えるんだけど……?
 黙っていれば学校一の美人に性器を見せてもらえるというのは一体どういうわけなのだ、という無粋なツッコミをこの手の話でしてはいけないんだ……笑 あら、映画化されてたんですね。ニースに行きたくなりました。

 私が今第2(触れた順序でいえば4)外国語にものすごい苦労しているから余計に思うんですけど、いくらフランス語がアルファベットを用い、英語と似通っている部分がある言語とはいえ、主人公のフランス語力は留学経験があるくらいじゃないと説明がつかない。百歩譲ってミシェルがある程度の英語を解し、葉子の英語での告白を理解したということはあるでしょうが、タクシードライバーがあそこまでの英語を喋ることはきっとないだろうし、なんで、そんなにスムーズにしゃれた会話をしているんだ奴らは……。しかし「ジョークはうざいけどいいヤツだよ」とドライバーをユーカに紹介していることから、ドライバーはかなり流暢な英語話者と考えるのがよいのか? それともフィクションなんだから言語は関係ねえと切り捨てるべきなのか? 現代小説でそれをしろというのか? 当該言語についてある程度基礎のある状態で、一ヶ月暮らしたら、そりゃかなりの上達はするだろう。しかし、しかしだな……リスニングはまだしも、スピーキングを、33歳の一ヶ月であそこまで上達させるのは私は不可能だと思う。こんな些末な点にケチをつけるなという向きはあるでしょうが、俺にくれよその語学力!!!(本音)
 でも文章はとてもよかった(よくなった)と思うし、これがデビュー2作目だとしたらすごい。今Wikipediaを観たらこれは三部作らしく、明日もう一冊買うかどうかちょっと迷ってる。
 大崎善生、自分でも海外放浪するような人で、早稲田卒で、村上春樹好きで、どうやらインテリだ……笑 フランス語くらい喋れて当たり前的な世界から来たのか。