Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

辻村深月『鍵のない夢を見る』  ★★

普通の町に生きる、ありふれた人々がふと魔が差す瞬間、転がり落ちる奈落を見事にとらえる5篇。現代の地方の姿を鋭く衝く短篇集(Amazon

 全体的に嫌な本だったな。わたしはエンタメ至上主義だからこういうの読むべきじゃないんだろうけど、辻村さん講談社ノベルスで出してたやつはもっと面白かったと思うけどな……。こないだ読んだ金原ひとみの『TRIP TLAP』より嫌な気分だぜ。嫌な読後感を売りにするならもっと突き抜けてほしいんだけど、直木賞これで取ったのか。ふうん。子育ての話だけは(TRIP TLAPと同じく)面白かったかも。身に迫るものがあって。他は普通に気分が悪いだけだっかなー。
 辻村さんは初期から痛い系の話で売ってたから、消防団の話や夢を捨てられない男の話とか、いやらしく書くのはうまいんだけれど。わたしがそういうの読んでも楽しくないってだけか。しかしこれで直木賞取るのは微妙すぎると思う。なぜ読んだかというと祖母が直木賞芥川賞の本を適当に買っているからです。