Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

川上弘美『天頂より少し下って』

“ふたたび恋を始めたのは、三十代の半ばころからだったか。その夏はじめてのプールにつかるときの感じだったな、あれは、と真琴は思う。まだ濡れていない体と水着でもってプールの中へ入ってゆくときの、気持ち悪いような、でも思い切って水に入ればすぐにやってくる解放感、久しぶりに男の人のくちびるを自分のくちびるに感じたときの、違和感と安心感が混じりあった感覚は、それにそっくりだった。”奇妙な味とユーモア、そしてやわらかな幸福感。少女から大人の女まで、多彩な主人公たちが登場する傑作ぞろい―川上マジックが冴えわたる、極上の恋愛小説全七篇。(Amazon

 不倫がなかったので最後まで楽しく読みました。ただ最後の表題作は若干気持ち悪かったです。息子と恋人とを並列に並べられるのなんか厭だわ、自分が親なわけでもないのに。