Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

森絵都『この女』  ★★★★

釜ヶ崎のドヤ街に暮らす僕に、奇妙な依頼が舞いこんだ。金持ちの奥さんの話を小説に書けば、三百万円もらえるというのだ。ところが彼女は勝手気侭で、身の上話もデタラメばかり…。彼女はなぜ、過去を語らないのか。そもそもなぜ、こんな仕事を頼んでくるのか。渦巻く謎に揉まれながら、僕は少しずつ彼女の真実を知ってゆく。(Amazon


 先週くらいに釜ヶ崎のことを調べて、それで読みたくて借りてきたんだけど、今となってはなぜ自分が釜ヶ崎Wikipediaを読み込んでいたのか記憶がない。津村さんといいこの女といい舞台が関西なのでセリフが完全に関西弁……久々に書きたくなる関西弁キャラ
 一気に読み終えてしまった! そういうことだったのね! ほほー。森さんの小説はDIVE!!を至高としてリアルヤングアダルト時代に読みふけりましたが、久々に骨のある話を読んだ感があるな! 『ラン』が微妙だったからからかな!
 面白かったです。文章もとてもうまかったし。前に読んでた頃はあまり文章には注目しておらず、なんて生きの良い青少年を書くのだろうくらいに思っていたけど(今も思ってるけど)うまくなったんじゃないのかなー。中身もエンタメとして爽やかにすっきりとよかったと思います。釜ヶ崎、取材に行ったんだろうな。きっと。天王寺動物園に行きたくなりました。わたしも通天閣から眺めたことしかないんだ。
 書く中身が変わっても、DIVE!!的な後味をあじわえたのがよかった。津原さんの青春小説でも思うけどさ、なんかさ、あれがうまく書ける人と書けない人がいるよね、当たり前だけどさ。健全な前向きさをうまく書けることはは強いと思うんだよ。現代のプロレタリアート、というとやはり津村記久子が思い浮かぶのですが、プロレタリアート文学って労働者レベルのくくりでいいのん?
 どうでもいいけどこの小説のフォント、たまに見るけどあまり好きではないんだ。笑 でも『私の男』みたいな話にはあってると思う(似たフォントじゃなかったっけ?)

 

冒頭の手紙は立ち直った大輔宛のものだったのね!