Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

津原泰水『読み解かれるD』  ★★★★☆

レオが、アルコール依存症に陥っていることが発覚した。ギタリストを失った“爛漫”は、新たな形態を取り、存続することに。そのような中、岩倉理が、向田くれないの出生について、語り始めた―。それぞれの音楽を求め、彼らはもがき続ける。そして、真犯人“オープンD”が遂にその全貌を現す。ロックバンドよ、永遠なれ!エンターテインメントに新たな地平を拓く年代記。完結篇。(Amazon

 逢いたい!!!!(号泣)
 津原さんは本人は否定するかもだけどいわゆる青春のきらめきを書くのがうまくて、その終わりを書くのも同様にうまいので(前者がないと後者はうまくいかないんだけど)、よく入れ込んでは泣く。よかったです。謎解き部分は若干緩急に欠けるかとも思いましたが、通して読むとまた違うかも。よかったです、最後の、ストレートな物言いが、津原さんがこの作品で出してきたことも。
 はー終わってしまった……津原さんが少女小説家として積み上げてきたものに(一冊しか読んだことがないけど)感謝します。まだまだ書く気があって寡作でもない作家を好きになれるのって本当に幸運だと思うわ。次に何出してくれるのか楽しみだわ。私は青春小説のラインがとても好きですが、SFも好きだからまたそのへん長編でいかがかなとも思う(最近の仕事ぶりは追ってない)。あと未収録作早くまとめて出して。
 このシリーズのベーシスト史朗くんはおたく女を落とすために完璧なキャラ設定だと思います。