Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

ロベルト・ボラーニョ『売女の人殺し』  ★★★★☆

インドから帰還した同性愛者のカメラマンの秘められた記憶、Bと父がアカプルコで過ごした奇妙な夏休み、元サッカー選手が語る、謎のチームメートとの思い出…貴重な自伝的エピソードも含む、「秘密の物語」の数々。心を震わす13の短篇。(Amazon

 はあああ素晴らしい…………中身も文体もいいですし翻訳もいいですしまさにこれこそ俺が求めていた感。小説は素晴らしいな。ボラーニョなぜ死んでしまったの。松本さんの翻訳書を読めばいいのか……やはり野生の探偵たちを読まねばいけないのか……いやあそうですよねもちろんですとも……。
 普段滅多に本買わないけど雪の中図書館に行くのは嫌だったのとコレクション発売おめでとうの気持ちから買った。『通話』しか読んだことがなくて、というか『野生の探偵たち』はぱっと見て読むのを断念したんだ……笑 『通話』(これも手元に置きたいんだけど昨日は見つからなかった)に収録されていた登場人物の名前がアルファベット・動詞が全て現在形で書かれている(と思われる)短編がすごく好きで、『売女の人殺し』をぱらぱらめくっていたときに同じ形式のものを見つけたのがクリティカルでした。
 おおっ『通話』も改訳が出るのね。そしたらそれを買おうかな。全部松本さんが約してくれればいいのにい、野谷さんもきらいではないが……スペ語文学翻訳だったら一番好きなのは木村榮一のガルシア=マルケスですけど。頑張ってついていくようにする!
 今回のあとがきを読んでようやく彼がチリからメキシコに渡ったうんぬんというバイオグラフィーを認識したので、先日メキシコに遊びに行った身としては安易な親近感がわいている。グアナファトもアカプルコも行ってないけど首都は観たからね! 「彼のスペイン語も急激にメキシコ化」というのも面白いな。メキシコのスペイン語は個人的にはアルゼンチンやスペインよりも聞きやすい印象を受けたけれども、わたしが年をとって耳が悪くなったというだけかもしれないけども、きっと発音も文法も違うんだろう。
 南米作家大して読んでないながらも、みんな簡単に中南米移動するしヨーロッパにもさっさか移住しちゃうし、世界狭い感じがする。母語母国以外で通じる感覚というのは羨ましいな。歯医者」で友人が同性愛あるいは同性小児性愛を「メキシコ的なおぞましいこと」呼ばわりしてるというのは、やはり中南米のなかでもメキシコはゲイフレンドリーというかあまり特別視されてないんだろうか?