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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』  ★★★★

国内現代小説
君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)

君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)

大学卒業を間近に控え、就職も決まり、単位もばっちり。ある意味、手持ちぶさたな日々を送る主人公ホリガイは、身長175センチ、22歳、処女。バイトと学校と下宿を行き来し、友人とぐだぐだした日常をすごしている。そして、ふとした拍子に、そんな日常の裏に潜む「暴力」と「哀しみ」が顔を見せる…。第21回太宰治賞受賞作にして、芥川賞作家の鮮烈なデビュー作。(Amazon) 

 この人はデビュー作が一人称だったのか。デビュー作には作家の要素がぎゅっとつまっていて一番面白いってことはしばしばあるよな。人に勧めるときは、「松浦理英子が解説を書いている」というだけで十分だと思う。それで足る。松浦理英子の新刊(ってほど新しくない)は現在予約中である。

 割と悲惨な状態におかれた人間を描く作家だけれど、ユーモアがあるのでちょいちょい笑ってしまう。ユーモアをさっ引いた「十二月の窓辺」あたりはしんどかったかな……最後萌えて帳消しでしたけどね。

 巻末のインタビューよかったですね。元々長編の人なのか、私はキャリアを逆に辿っていたのだな。軽く読める短編として上げられてるのが全てミステリだったり、エンタメよりの賞に応募していたりというので、本作や「十二月の窓辺」の展開に納得。

 全体的に暗いけど、前述の通りユーモラスであるのと、終わり方がよかったので、読後感はよいです。「誰かの心を調達」って表現すごくいいな。私もそれができない人だ。