Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

皆川博子『薔薇忌』  ★★★★

降りしきる薔薇のはなびらで窒息することを夢見て、縊死した劇団員を描いた「薔薇忌」、水を汲んだ桶を覗きこむと、その人のために祈ってくれているなにものかが水に映るという「祷鬼」、現実のセックスでは不感症であるが、眠りの中で濃密な性の悦びを得られるという女を描いた「紅地獄」等々、舞台芸術に生きる男と女が妖しく織りなす世界を描く短編集。柴田錬三郎賞受賞。(Amazon

 舞台に関わる人々を中心とした現代よりの短編集、とてもよい。この人のエロスは暴力的だけどエロいですね。短編のラストに死の絡むドンデン返しをもってくるのは反則ではないのか? とのミステリ脳の叫びは無視して、エロティックでとてもよかったです。幻想作家であることを常に頭において読むべし。
 「化粧坂」がすごく好きだけどこれ完全にただの趣味だからね。インテリ少年と流しの女形少年て、そんな、JUNEみたいな!笑 エロスでいうと切首の話が一番かなあ。あれはよかった。
 芝居ものというと恩田陸中山可穂が浮かぶけど、この人もよく書いてるのかなあ。女性作家に多いイメージ。