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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

アンナ・カヴァン『氷』  ★★☆

異常な寒波のなか、夜道に迷いながら、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気象変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて姿を消した少女を追って、某独裁国家に潜入した私は、要塞のような「高い館」で、絶対的な力で少女を支配する「長官」と対峙するが…。刻々と迫り来る氷の壁、地上に蔓延する抗争と殺戮、絶望的な逃避行。恐ろしくも美しい終末のヴィジョンで読者を魅了し、冷たい熱狂を引き起したアンナ・カヴァンの伝説的名作。(Amazon

 津原泰水が「完璧な小説」と評していたので読んでいたが、何の予備知識もないまま読み始めたのでさっぱり分からず、巻末の解説を見てようやく、ああこれはサンリオSF文庫の改訂版なのか、すなわちSFなんだなと、小説に向かい合う態度を決めることができた。何のジャンルか分からないと小説を読めないというのは本読みとして貧しいことだろうし、SF・怪奇・ファンタジーあたりの曖昧な境界をあえて定めなければ苦手なファンタジー(ハイは無理にしろ)も読めそうなもんだけれど、SFだって安心させてもらわないとこの手の小説はしんどい。
 うむ……わからんかった!笑 や、すごいってのはそうなんだけど、何をもって完璧と言わしめているのかが素養のない私にはピンとこず……。カヴァン本人もジャンルを意識せずに書いていたらしいけど、終末SFです。終末SF+少女(しかし少女は20歳オーバーと思われる)。「氷」が全世界を覆い尽くして終末へまっしぐら、人間たちはなす術もなく右往左往という舞台設定の中、メイン登場人物は「私」「少女」「長官」の三人。「私」はひたすら銀髪の少女を追いかけていくんだけど、前半部ではエクスキューズなしに妄想が入り混じるので混乱します(笑) 後半はそれが減り、設定もチラ見させてくれているので比較的読みやすい。文章はとても良い。ちょうどこういう記述のものを読みたかったというのもあるけど、読んだら書きたくなる系の文章でした。時代性を意識することなく読める。
 機会があったら再読して考え直したいところだけど、多分次に読むのは終末SFパロをしたくなったときだろうな。笑