Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

多岐川恭『濡れた心』  ★★★

女子高生の純粋な同性愛を阻む悪意、そして殺人事件。日記や手記を取り入れた斬新な構成が人間関係や動機を際立たせる文学的探偵小説。(『濡れた心』)。(Amazon

 単品での文庫が絶版になってるので全集から。
 1958年に書かれた百合ミステリ。図書館で借りた本自体が古いので、随分昔の話なんだろなーと思いつつ読んでたら50年以上前とか。そこまでの古さは感じなかったなあ、IT関係機器がまったく登場しないからかもしれない。昭和50年くらいかと。
 びっくりするほどストレートに百合でしたね! 百合の三角関係だったね! 百合って男性向けが最近盛り上がっているだけであって何も新しいもんではないよな。典子と寿利のビジュアルが何故かそれぞれアイマス雪歩と響になっていた。でも典子はもっと肉感的なので雪歩じゃ足りないな。笑
 主要登場人物たちのの手記形式。「御厨典子の日記」ってしないで「典子」だけで区切ればよかったんじゃないかなー。日付が入ってる以外、ただの一人称だし。そんなこと言ったら手記モノほとんど非手記になってしまうけど。私が手記モノに苦手意識を持っているだけだけど。
 主要登場人物以外の人が全然出てこないので、ものすごい狭い世界の中で起こっている感じがある。本格ミステリって基本そうだよね。ミステリからしばらく離れているから久々に読んだわ、こういうクローズドな雰囲気の本。最初はあまりに皆の利害が一致しすぎて全員グルでしただったらどうしようと思ったけど、さすがに違って、早い段階で読者に真相を気付かせヤキモキさせるタイプの本だった(私は多分遅い方だけど)。典子がハッとするとこの描写が好きでした。
しかし典子さん罪な女ねあんた! 何人の人生を狂わせたのよ!笑