読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

マーティン・デイリー、マーゴ・ウィルソン『シンデレラがいじめられるほんとうの理由』  ★★★

なぜ継母はシンデレラをいじめるのでしょう?実はこの物語には、我が子を意のままにしようとする、世の母親たちの深謀が隠されているというのですが…。もはや現代の進化論は、キリンの首がいかに長くなったかとか、ウサギの耳はなぜ伸びたなんて研究をしてるわけではありません。現代の知の枠組みを変えつつある「進化論」の最先端を紹介する知的興奮のシリーズ第一弾。まずは、童話に秘められたアッと驚く真実を、進化論が見事に解き明かします。(Amazon

 「進化論の現在」というシリーズの一冊らしいけど、シリーズが日本でどう翻訳されているのか説明が本に一切ないのであった……気になるじゃないか……。進化論の現在を随時発信していくものなのかしら。
 内容はタイトル通り、継子がいじめられる理由について、色んなデータを引っ張ってきたり自身で調査したりしながら記述していくもの。100ページ程度の本だけど、最初から最後までその話しかない。潔い。継子が継親にいじめられるのなんて、血のつながった子供ではないって理由だけで十分じゃないの? 自分の遺伝子コピーを残していくのが生命の目的なら当たり前じゃない? って考えたくなるところだけど、そうはいかない。ちゃんとステップを踏んで論文を出しても、否定的に受け取られるようだ。それほど倫理的に認められないってこと? へええ。
 Greater goodが学術世界を席巻していた頃を知らないからピンとこないなあ。養育期間や妊娠準備期間との兼ね合いで子殺ししない方が継親にとってメリットとなるなら、殺さないという選択をする方が増えていくわけで、人間も本来そうなのだと。でも虐待が起きてる割合は継親家庭の方が数倍から数百倍高いんだと。養子はまた別だそうです。環境によって自分の子を見分ける必要のある種は親のセンサー・子の伝達手段の両方が発達し、必要がない(巣が離れすぎていて自然には混ざったりしない)種は他の子供を入れておいても何も気付かないってのが面白かったです。その通りなんだけども(笑)
 生物は種全体の保存ではなく、自分と近い遺伝子の保存のために行動する。そうすれば種の保存というGreater goodを掲げる個体は必然的に数が減り、「利己的」な方は増える。