Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

P.G.ウッドハウス『感謝だ、ジーヴス』  ★★★

大好評爆笑シリーズ第13弾。ウッドハウス最晩年90歳の時の小説を本邦初訳。ジュニア・ガニュメデス・クラブのあのクラブブックの秘密が漏洩か?天才執事ジーヴスの今回の活躍はいかに。(Amazon

 あとがきに収録されたアメリカ版の結末には、この二人ついに結婚しちゃったよ! と叫ばざるをえない。何だこのハッピリーエバーフターは!!
 本編で「すでに(破棄)いたしました」って言われたときには、えっ?! 何でそんな軽々とやっちゃってんの? 今までどんなに頼んでもダメだったのに、ビングレイの一件で考えを改めたの? と疑問符だらけでしたが、アメリカ版のオチなら納得です。良好な雇用関係を継続して下さい。アメリカ版はジーヴスシリーズの大団円だなあ。ジーヴスとバーティーは基本的には良好に付き合って、たまには喧嘩して解約したりして、でもやっぱり元サヤに戻って、そんで最終的にはダリア叔母さんとアナトールのような実際的な契約じゃなく……ヨーイックス! めでたい!
 二人がおじいちゃんになってもあんなふうに仲良く暮らしてたら微笑ましい。周りの人が徐々に世を去って行き、その人たちについて過去形で思い出話をし、ちょっぴり感傷的になりながら、しかし君がいまだ僕の雇用下にいるなんて信じ難いことだなあ、さようでごさいますかご主人様、なんてやってたらいいな……バーティーは独身貴族を貫くのかしら……。
 The Tie that Binds, sir.

 ただし内容的にはピーク時の作品を下回ります。
 あとがきに私が作ったWoosterbotとJeevesbotの宣伝をしてくださってます!