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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

仁川高丸『微熱狼少女』  ★★★★

女子高生・藤乃。赤みがかった髪を狼カットにしている。彼女にはゲイの父親と、暴力的な恋人・誠がいた。そんな藤乃に接近してくる社会科の非常勤講師・三島麻純(♀)23歳。三島は自らがレズビアンであることを公表している。揺れ動く藤乃の心の中で、次第に三島の存在が大きくなって…。女子高生と女教師の奇妙で熱い愛の光景を、確かな筆致とみずみずしい感性で描く衝撃作。

 これはいいね! この人はキス描写がとてもうまい! 最高にいいキス描写ですね! その後の愛撫描写もとてもよかった、けどやっぱりキス描写が一番いいね! キスはいいね! 素晴らしい! 一冊丸ごとキスばっかりしてる本を出してほしいくらいですよ!
 『文月に~』と同じく高校生少女が主人公でヤングアダルトっぽさが漂ってる。特に物語前半、1992年の思春期真っ盛りな女子高生が同性愛に対してああいう態度を取るのはまあ打倒なのかなっていう気はするけど、薄汚いゲイ呼ばわりっつーのは読んでてちときついな。1997年に執筆された『文月に~』より本書の方が新しく見える。時代性を表し過ぎてしまうIT機器は小道具として用いない方が無難だね(笑)しばらく古びないでいられそう。狼少女の藤乃が三島と付き合ってるうちに丸く広くなって、同性愛を変態という言葉に置換するのをやめられるようになるといいね。
 み、三島って23歳か……23歳か……教師と生徒だから10くらい年離れてると勝手に思っていたけど23歳か……。
 中山可穂はジャンル:人妻略奪愛だからもちろんw、1990年代に登場した仁川高丸もヘテロ色がかなり強いんだけど、1986年に松浦理英子が『ナチュラル・ウーマン』を書いたってのはなかなかすごいな。森奈津子まで来ると完全に吹っ切れて気持ちいい。本書が紹介文で「衝撃作」って称されてるのはやっぱりレズビアン小説だからよね? 当時はそうかもしれないけど、今なら別段衝撃作とは呼ばれないであろうよと思うと嬉しい。