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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

中山可穂『マラケシュ心中』  ★★★★

「恋がいつか必ず終わるものなら、わたしたちは恋人同士になるのはやめましょう。何も契らず、何も約束せず、からだに触れ合わず、それゆえに嫉妬もない、(中略)この世で最も美しい友になりましょう」(本文より)。山本周五郎賞作家が『感情教育』を超えて到達した、戦慄と至福の傑作恋愛長篇。(Amazon

 ……よ、よかったー! もうだめかと思ってひやひやしたわ! マオ投げっ放しなのはちょっとひどいし、マラケシュの主人公の行動はえええ、ってなったけどまあ良いや! こういうオチに引っ張ってってくれるなら私は大丈夫です! よかったです!
 物語のテンションとしては私がマオ贔屓だったこともあり二章がクライマックスに思えました。二人の逃避行が始まるのか……と信じて疑わずにいました。もう本当にマオのあの後が心配です。中山さんの構想の中では高確率で死んでいるんじゃないのか……。私が読んだのは単行本だったのだけど、文庫版後書きでは「マオを幸せにしてあげられなかったのが心残り」と書かれていたそうで、ほっとしました。作者に気をかけられていたという事実に。
 恋愛部分については何を言ってもネタバレになるな。私はハッピーエンドが大好きなのでうまくまとまってくれさえしたら評価は大分甘くなる傾向にあり、本書はまさにそれである。性描写が他と比べて結構しっかり描いてあった印象。中山さんは与える・与えられる側がはっきりしたカップルを、与える側の視点で描き、「私は抱くのが好きなんだよ」としばしば言わせているので、もっと両方向のやつも読みたいなあと思っていたのだが、段々と解放されていく泉さんを見ながらよし来た! 来た! とガッツポーズでした。ご馳走様でした。もう心中しないでそのまま終わってもよかった。
 ちなみに泉さんの外見イメージは名前繋がりで「主に泣いてます」の泉だったw 言動除けばぴったりではなかろうか。対する絢彦の方は、どんな感じか想像できなかった。少年っぽい掠れた声をしてるらしい、くらいで。首筋にキスを振らせられるということはショートなのか? 描写あったっけ?
 旅の描写、特にモロッコに入ってからのはとても面白くて、「モロッコ人の脳は蠅並みだ」とのくだりには取材中に痛い目に遭ったりしたんだろうかとw 同じイスラム国のトルコと比べているけれど、経済格差やら何やらでまあ、ねえ。トルコのホスピタリティは本当にすごいけどね。とにかく旅に出たくなったので中東情勢が良い方向に落ち着いてくれますようにと願っときます。トルコは儲かってるみたいだね! 夏に行けるもんなら行きたかったよ! あの国の人たちの多く(外で働く男性)はスケベ心はあっても商売魂があんまりない。