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Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

中山可穂『弱法師』  ★★★★

評価:
中山 可穂
文藝春秋
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(2004-02-26)

難病を抱える少年と、少年に父親を超えた愛情を抱く義父との交流を描く表題作など、激しくも狂おしい愛の形を描く3篇を収録した中篇小説集。『別冊文芸春秋』掲載を単行本化。

 能をモチーフにしていたのか。教養がなさすぎて全く気付かなかったぜ。
 一日二冊は読まないって言ってたくせに結局読んだんかい。ええ読みました。この人の本は長編でも短編でも連作短編でも一ページ目をめくったら最後まで行きます。
 本書は短編が三つ収録されていて、とりあえずどれもすごい。「卒塔婆小町」がすさまじかったので、「浮舟」の冒頭ではしゅんと気が抜けたようになっていたけど、こっちもすごかった。静かに泣きながら読み終えた。あれよね、この本に限らず、ほとんど対の片割れが死ぬよね。愛に心身削りつくして死ぬね。こんな話ばかり書いていて、一作ごとにげっそり痩せるのは深町同様作者もなのでは……。
 「弱法師」は珍しく男性視点で描かれていて、性役割があまりに凝り固まっていたので素直に萌えきれない部分があったわ。君がいないと生きていけない、ってとこはふおおとなったけどね。「卒塔婆小町」を読んでると、百合子の時代の独り身女性への風当たりって相当だったんだろうなあと思う。ストレートなネーミングに吹いた(笑)
 しかし中山さんは何の躊躇いもなく美女を登場させるね。色気のある人妻系だったりボーイッシュだったり美人薄命だったり様々だけど、美しい女性と美しい女性の交わりだ。自分がもしもオリジナルで女性を書くとしても、そんなにぽんぽん美女を出せないだろうと思うが、コンプレックスを主たる原因として。あるいは美醜の判断は避けるようにするだろうな。作者自身美しい人なんだろうか。単純に美女の方が映えるからか。
 恋愛至上主義なところはちょっと苦手だな。恋愛小説を読んで何をほざく、と叱られそうだが。