Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

本多孝好『at Home』  ★★

 そこは人がほんとうに帰るべき場所なのだろうか?ふぞろいで歪つな4つの家族とそこに生きる人々。涙と冷酷と波乱を存分にたたえたエンタテインメント小説。(Amazon

 春樹チルドレンの中でもロマンチスト男子でコンサバ色強めの本多さんが家族の話を書いたら……あとは分かるよな? といったところか。笑 それを抜いても全体的に冴えない印象。話がどうでも文章がよければ構わないんだけど、今回は文章もイマイチだったな。
「作家は旧来の「家族」という概念をバラバラに解体してゆく」とありますがね、バラバラになってるのは見かけの形だけで、父母や性役割といったものはまったく、ちっとも、「旧来の家族」と変わっていませんことよ。男は男らしく、というのが大好きな作家さんなのはファンだからよく知っている、けれど家族概念にチャレンジするならそのへんもぶっ壊してくれないとつまらないよ。もっとバラバラした家族が欲しければ長野まゆみを読むよ(笑)
 台詞のテンポもあんましよくなかったよ。台詞だけをがっとまとめるようなこと、それを締めの場面に使うなんて、逃げるような(私がこの手を逃げに使ってるだけなんだけどw)こと……。家父長制バーン! な家族を描く話というのもそれはそれで需要があるし面白いと思うんだけど(ちらっと浮かんだのは『サウスバウンド』とか?)、これはちょっと中途半端だよなあ。
 母の感想は「これ本多さんが書かなくてもいいよね」でしたw 傲慢な読者として言わせてもらえば、本多さんは小賢しい男子高校生~大学生視点の小賢しいお話をとっても上手に書く人だと思っているので(褒めてるよ!)、そのあたりに集中してもらいたいものです。