Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

麻耶 雄嵩『貴族探偵』  ★★★

貴族探偵
貴族探偵
麻耶 雄嵩
本格愛好家へ贈る、ディテクティブ・ミステリーの傑作!!
自らは推理をしない「貴族」探偵、登場。
推理などという〈雑事〉はすべて、使用人任せ…。
「趣味」探偵の謎の青年が、生真面目な執事や可愛いメイド、巨漢の運転手などを使い、難事件を解決する。
知的スリルに満ちた本格ミステリー!
麻耶雄嵩5年ぶりの最新刊。(Amazon

 飲みの課題本だったし一応全作読んでるのでこれも、と借りてみたけどこれは中途半端かもなあ。貴族探偵は貴族だから捜査も推理も使用人任せ、自分はトップにいるだけ、という探偵と助手の枠組みを壊してみせるのはよかったんだけどねー。記憶に残る本じゃないわね(麻耶にパンチのある本が多すぎるというのもある)。メタ視点やるならデビュー作くらい、トンデモやるなら夏と冬レベルに、意地の悪さを出すなら神様ゲーム並に、と思ってしまうんだよな。
 「こうもり」はまあぶっちゃけてしまうと叙述で、さくっと騙されました。笑 嘘はついてない、嘘は……。動機なんだったっけ? と読み返したら語られてないというね。すごいよね。肝心なのはそこじゃないからって言ってるようなもんだよね。麻耶先生しかし気になりますぜ!
 「春の声」が一番ぶっ飛んでたかな。これだけで読めばやってくれるぜ麻耶www で終われたかもしれない。最初の二編にパンチが足りなかったのかなあ。春の声は、もはやミステリでもなんでもないというか、ミステリの皮を被ったトンデモというか、何考えてんだ麻耶www というかw 三人にそれぞれ推理させておいて、最後の最後で主らしくとりまとめるのか……!? と思いきや何もしないしな!笑 てか犯人なんていないようなもんだしな! あれは結局何だったんだぜ! デビュー作の首取替えには劣るけども愉快な話でした。