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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

森見登美彦『四畳半神話大系』  ★★★★

四畳半神話大系
四畳半神話大系
森見 登美彦
 妄想してないで、とっとと恋路を走りやがれ! 私は冴えない大学三回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。できればピカピカの一回生に戻ってやり直したい! 四つの平行世界で繰り広げられる、おかしくもほろ苦い青春ストーリー。(Amazon

 二章に突入した瞬間これは! と思い、四章ではSFだったんだ! と刮目したw 面白かったです。話としての面白さというか、文章自体とその可笑しみがすごく好きだったな。
 諧謔小説といって私が念頭においているのはジェロームウッドハウスだけど、語彙が豊富で比喩が上手、つまり上手くないとどうにもならないじゃないですか、文章だけで笑わせるなんてえらいことをするためには。それが洒脱にできる人ってのはそんな多くないんだと思うわ。なんらかのアクションではなくて、何気ないことを描写している地の文でニヤニヤできるのは読者としても大変幸せです。今度コメディにチャレンジする際の参考・燃料にさせて頂きます。
 作者まだ若いのねーそして理系か。文系理系なんてナンセンスかもしれないが理系か、と思ってしまう。京大付近はうろうろしてきたから何となく想像がついて楽しかった。京大ミス研のぼろぼろの看板、あれ見てきたので仙人いてもおかしくないな、というかw あの川落ちたら骨も折れるわ。
 アニメサイト見てみたら各話ごとにパラレルワールドしてたんだね! 繰り返しの妙とはいえ、アニメであの四章を三話づつにするのはどうかと思ったのでうまいこと変えたなあと。小説の小津の外見描写はおどろおどろしいので、アニメのかわいさにはびっくりだw 羽貫さんかわいい!
 しかし台詞回しもよかったですねえ小津の台詞すごい好きです。他にもユーモア書いてるなら読みたい。もっとユーモア小説が読みたい! アニメから入って小説気になると思ってる人はページ数実質半分くらいなのであの文章味わうために読むのがよろしいでしょう。笑
 文章を読む楽しさを久々に味わいました。