Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

藤原伊織『遊戯』  ★★★

遊戯
遊戯
藤原 伊織

「現実とネットの関係は、銃を撃つのに似ている」。ネットの対戦ゲームで知り合った本間とみのり。初対面のその日、本間が打ち明けたのは、子どもの頃の忌まわしい記憶と父の遺した拳銃のことだった。二人を監視する自転車に乗った男。そして銃に残された種類の違う弾丸。急逝した著者が考えていた真相は。(Amazon


 ついに読み終わってしまった藤原伊織未完の遺作……ウィキペディアで著作一覧を確かめたけど未読がなくなった……私にとって今がまさに藤原さんの死である。「遊戯」も最後まで読みたかったし、もっと新作も書いてほしかった。生きてれば今頃……悲しい。
 やるせない悲劇を根底に持つ話がほとんどだったなあ。これ、読む方も書く方もある意味マゾというか(笑)それに対して登場人物が情感たっぷりに嘆きまくるということはなく、割合さらっと流されてるんだけど、現実に自分の周りで起きたら欝になりそうな出来事ばかりだ。
 作中の女性に対する男性の言動がしばしば女性全体をバカにしている節はあるが、それはハードボイルドでは仕方のないことなんだろうか。ホモソーシャル的な。中心にいる女性はどれも毅然と美しくて、私は好きなんだけどね。藤原伊織作品の女性が積極的なのは、主人公に来る男性のアル中・無気力率が高いため必然的にそうなるわけで(笑)、女性の積極性<都合よく動いてくれる存在、かなあと思ってはいるけど!