Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

山本弘『MM9』  ★★★

MM9
MM9
山本 弘
 地震、台風などと同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する現代。有数の怪獣大国である日本では、怪獣対策のスペシャリスト集団「気象庁特異生物対策部」、略して「気特対」が日夜を問わず日本の防衛に駆け回っていた。多種多様な怪獣たちの出現予測に正体の特定、そして自衛隊と連携するべく直接現場で作戦行動を執る。世論の非難を浴びることも度々で、誰かがやらなければならないこととはいえ、苛酷で割に合わない任務だ。それぞれの職能を活かして、相次ぐ難局に立ち向かう気特対部員たちの活躍を描く、本格SF+怪獣小説。(Amazon

 人間原理を怪獣と組み合わせるなんてっ……さすがと学会の山本弘だぜ……! 一見トンデモな怪獣というネタをうまいことSFに落とし込んでいる、というか怪獣というネタだけ取り出したときこれはSFになるの? よく分からないぜ。ジャンルに拘泥する必要はないけど。
 MMとはモンスター・マグニチュードの略。怪獣VS(とは限らないけど)気特対な連作短編、面白かったです。勢いがあって。怪獣を実在のものとしているから話は神話や伝説にも繋がってくる。ジェインズ『神々の沈黙』ネタが出てきたりもしてね。私これ、結局読破してないんだけれど(笑)
 ちなみに本書は2009年SFが読みたい!の国内第二位。読み始めたときはこんな口当たりの軽い本が二位かあ、と思っていたものの、段々と、こういう本が二位に来れるのって素敵だなあ、に変わっていました。いや、ちゃんと面白かったよ! ネタの繋げ方がうまいよ! そして熱い。ザ正統派。