Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

古川日出男『アビシニアン』  ★★★★

アビシニアン
アビシニアン
古川 日出男
「あなたには痛みがある」そう言った彼女は字が読めなかった。ぼくは激痛の発作におびえながらも急いで書かなければならない。僕と彼女の愛についての文章を。気高く美しい者たちの恋愛小説。(Amazon

 きれいな小品というイメージ! でも16万字とかなんだよな。改行とかあるからもっと少ないか。
 二部の男の子視点がすごい……何だか分からないけどすごい好きでした。というか男性視点の一人称は基本好きだが。区切りごとに数字がふってあって、改ページもされているところに何だかどきどきした。短い話でもああやって区切ってあるのが無駄に見えないのはいいね。それどころか余白にときめいちゃうんだからすごいね。あとあの男の子が「おまんこ」って言わずに「もっと下の方」って言ってたので安心した。これだよ、これ! もっと下の方!
 自分が就活中なので、誰かが拾ってくれるなんてこの子超ラッキーとファンタジーな部分に羨ましさを感じたりした。私も拾われたいでーす……。古川さんの本は今んとこgiftが一番好きで、ロックンロールが一番面白いという評価は変わってないけど、これもなかなか素敵な感じだな。