Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

湊かなえ『贖罪』  ★★★

贖罪 (ミステリ・フロンティア)
贖罪 (ミステリ・フロンティア)
湊 かなえ
 取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない四人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる―これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?衝撃のベストセラー『告白』の著者が、悲劇の連鎖の中で「罪」と「贖罪」の意味を問う、迫真の連作ミステリ。本屋大賞受賞後第一作。(Amazon

 ああああああもう、この人の連作短編なんて一度で読み切る以外の選択肢がないことなんて分かってたはずなのに!! ああ、三時半。課題に目を通さないまま三時半だよ。『告白』と全く同じ形式のミステリでした。
 手紙だったりスピーチだったり対話だったり、誰かが何かを語っている。語り手が変わっていくと事件の見え方も変わる。ってのが告白で、贖罪も大体そんな感じかな。ちょっと違うんだけど眠くて言葉にできないや。湊さんがスピーチ形式で語らせる際のものすごいあてつけ・批難っぷりは爽快だねえ……。
 全体的に女性のドロドロしたノリだけど、オチはすっきりきれいにまとまってました。そこは関係ないか(笑)今はどんな話書いてるんだろうね、こういう構成を極めるのもいいけど、また別の構成で書いてみてくださいよ、とか言われるんだろうな。面白かったです。エンタメだと思うわ。
 しかしよくよく考えてみれば不幸の連鎖でそれぞれの登場人物は結構な目にあっているというのに、ネタとしてきれいに収まっているだけで「すっきり!」「爽快!」ってなるのもアレだね(笑)フィクションの香りが強いこともあって後味の悪さは微塵もない。若竹作品とかだと割とあるけどね。