Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

トマス・M.ディッシュ『アジアの岸辺』  ★★★★

アジアの岸辺 (未来の文学)
アジアの岸辺 (未来の文学)
トマス・M.ディッシュ,浅倉 久志
 最高に知的で最高に意地悪なSF作家、トマス・M・ディッシュの洗練された奇想と黒い笑いに満ちた短篇群を初集成。本邦初訳・幻の傑作「アジアの岸辺」等13篇を収録した日本オリジナル編集によるベスト・オブ・ディッシュ。(Amazon

 面白かった! 久しぶりに面白い短編集を読んだ! 最近長編づいてたからなw 全部読み通してもやっぱり「降りる」「黒猫」が好きかな。表題作は解説読まなかったらよく分からないままだったと思う……(笑)トルコの描写は垂涎ものでした。
 しかし一つだけ言っておく、トルコ人の顔にどこか魅力を削ぐところなどない!笑 男も女もとても魅力的!笑 はートルコ行きたくなっちゃったぜ。「リスの檻」もよかったなあ、「降りる」みたいな不条理ものかと思いきや最後にあれか。「死神と独身女」も好き。イカした死神じゃないか!
 「降りる」や「カサブランカ」、ひたすら事態が悪くなるだけの話って苦しいのに楽しいよね。マゾヒスティックな悦び、なんだろうか……(笑)この手のものを読むと奥田英朗『最悪』を思い出すよ。あれ最悪だったなーw
 そういえば「黒猫」内で訪ねてくる学生、ナチュラルに男子学生かと思って読んで、あーディッシュはゲイだったんだよなとか感慨に耽ったんだが、性別は記述されてないんだよな。普通に読めば女子学生なのかしら(笑)フランス語とかなら性別分かるのにね。女子学生かもと気付いてもなお、男子学生の方がしっくり来るとは何事か。
 あ、これ翻訳浅倉さんかー! 大御所ですが私が名前を覚えだしたのが最近なので(笑)ディヴィッドソンの奇想コレクションも最高に素敵な訳、と思ったら浅倉さんだった。twitterで古澤さんが浅倉さんの話をしてたな。