Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

津原泰水『バレエ・メカニック』  ★★★★

バレエ・メカニック (想像力の文学)
バレエ・メカニック (想像力の文学)
津原 泰水
 造形家である木根原の娘・理沙は、9年前に海辺で溺れて以来、昏睡状態にあった。「五番めは?」―都心での商談後、幻聴らしき言葉を耳にした木根原は、奥多摩の自宅へと帰る途中、渋滞の高速道路で津波に襲われる。担当医師の龍神によれば、昏睡中の理沙の夢想が東京に異常事態を引き起こしているというのだが…稀代の幻視者があまりにも精緻に構築した機械じかけの幻想、全3章。(Amazon

 真っ白い表紙と中の赤が美しい!
 よかった! 『ペニス』よりだー最後まで読めるかな、と不安だったけど面白かった。むしろ『妖都』だね。どことこなくエロいしね。いつもながら情景も文章も綺麗だった。ただし分かりましたとは言えない(笑)
 ネットの感想見てると幻想っぽい一章が人気? 理沙の存在があるからSFは感じるんだけど、なかなか乗れなかった。二章はミステリっぽくて、やってることも分かりやすいしとても読みやすいしやっぱエロい。三章のサイバーパンクはタイミングがよかったのでキター! と狂喜乱舞した(笑)うおおこれは正に求めていたもの! ここから先には入りたくないとかキャップを外すとか悶えるわ!
 本人サイトの掲示板にはヒントとして、「ブラジャー。一章:娘、二章:姉、三章:母」とありました。そういえばどれも一応男性がメインで動き回って、女の影を追っかけていたんだな。……よく分からんけど。津原さんの文章はもちろん台詞回しが大好きなのでこれから何度も再読することでしょう。そして再読の度に評価が上がる。
一章と二章はSFマガジン掲載、三章は書き下ろしらしいね。三章が一番SFなのにね(笑)『赤い竪琴』の文庫はハードカバーのデザインを縮小とかしたほうが良かったんじゃないかと思います。あれは地味すぎる。『ブラバン』は吹奏楽部で恋愛! みたいな表紙になっている。間違ってはいないにしろ、正しくもないような。