Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

藤原伊織『てのひらの闇』  ★★★★

てのひらの闇
てのひらの闇
藤原 伊織
 二人の男の道を決定づけたのは、生放送中のスタジオで発せられた、不用意な、しかし致命的な一言だった――。二十年後、その決着をつける時が訪れ、一人は自死を、一人は闘うことを選んだ。著者の新たな到達点を示す傑作。(Amazon

 面白かった。『ひまわりの祝祭』とは違ってストーリー的な意味で面白かった。文章もその組み立て方も、後に書かれたこっちの方がすっきりしていてうまい。でもどっちが好きか聞かれたら、私はひまわりを取る。何故なら原田が炸裂的にナイスなインテリヤクザだったからだよ!笑 しかも三十代前半という絶妙な年齢だったんだ彼は。しばらく原田を越えるキャラには巡り合わないんじゃないかと思う。
 閑話休題。本書も主人公や周りの人々、とくに女性は魅力的だったよ。地の文でナミちゃん呼びはどうかと思うけど、ナミちゃんはかっこよかった。大原もかっこよかった。あ、でも一番かっこよかったのは坂崎かな。何だあの万能選手。おいしいところを全部攫っていったぞ。
 ただ、藤原伊織は「まり」という名前が好きみたいですが(『ダックスフントのワープ』にも出ているっぽい)、本名が同じだからどうにもむず痒くて……次に読みたい『シリウスの闇』には出ていなさそうでほっとしてます。あとゲイのインテリヤクザも好きなのかな(笑)これは私も大好物だから、もっと出てきてほしいんだけど。