Memoria de los Libros Preciosos

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レベッカ・ブラウン『体の贈り物』  ★★★★☆

体の贈り物 (新潮文庫)
体の贈り物 (新潮文庫)
レベッカ ブラウン,Rebecca Brown,柴田 元幸
 食べること、歩くこと、泣けること…重い病に侵され、日常生活のささやかながら、大切なことさえ困難になってゆくリック、エド、コニー、カーロスら。私はホームケア・ワーカーとして、彼らの身のまわりを世話している。死は逃れようもなく、目前に迫る。失われるものと、それと引き換えのようにして残される、かけがえのない十一の贈り物。熱い共感と静謐な感動を呼ぶ連作小説。(Amazon

 授業で作者が話をしてくれるというので、著書を読んでおこうと思って。よかった! あとがきで訳者が言ってる通り、要約すると安っぽく見えるんだけど、実際読むとすごいよかったよ。泣いてしまった。短いし字が大きいのですぐ読めてお薦め。
 驚くべきは文章の簡潔さ。一文一文がとても短く、凝った言い回しも使われていない。文章を飾ればいいってものじゃないってのがよく分かる小説だった。もちろん効果的に装飾された文章は大好きだけど、こういう話だからこそシンプルに分かりやすく綴るのが一番効くんだろうね。
 パーキンソン病になって老人ホームに入っていたおじいちゃんを思い出した。人が衰え行く様を見るのはつらい。コニーみたいになるのとぽっくり逝くのと、どっちがいいか私には決められない。