Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』  ★★★★

儚い羊たちの祝宴
儚い羊たちの祝宴
米澤 穂信
 面白かった! 米澤さんはもっとこういうのを書けばいい! 現代ものが古風になってしまうなら本書みたいにちょっと昔の話を書けばいいのよ。……現代じゃないよね? 現代? 金持ちは今もああいう世界で暮らしているの?
 とてもいい「悪い趣味」です。表紙の通り、名家のご子息だけが入れる「バベルの塔」という読書サークルのクロニクルとなっていて、舞台はお屋敷、中心人物はお嬢様と使用人たち。どことなく耽美で僅かにグロ。後味は倫理的に言えば悪く、でもミステリとしては綺麗だと思う。お上品で現実離れしているから若竹七海みたいな毒はないし(笑)私はものすごく好みだ。最後の話とかたまらん。
 出版社による紹介が微妙なネタバレ……こういう趣向です、といって注目を惹ければいいのか。私は前情報なしで最初の短編読んでうおー綺麗ーとなったから、できればまっさらな状態で読んでほしいな。

 

 ミステリの醍醐味と言えば、終盤のどんでん返し。中でも、「最後の一撃(フィニッシング・ストローク)」と呼ばれる、ラストで鮮やかに真相を引っ繰り返す技は、短編の華であり至難の業でもある。本書は、その更に上をいく、「ラスト一行の衝撃」に徹底的に拘った連作集。古今東西、短編集は数あれど、収録作すべてがラスト一行で落ちるミステリは本書だけ!(Amazon


 いやこれは知らない方が絶対面白いよ……!