Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

コニー・ウィリス『マーブル・アーチの風』  ★★★★

マーブル・アーチの風(プラチナ・ファンタジイ) (プラチナ・ファンタジィ)
マーブル・アーチの風(プラチナ・ファンタジイ) (プラチナ・ファンタジィ)
松尾たいこ,大森望
 毎年恒例の大会(カンファレンス)に参加するため、20年ぶりにロンドンを訪れたトムとキャスの夫妻。ロンドン地下鉄道をこよなく愛するトムは、旧友との再会を楽しみに地下鉄で大会会場へと向かうが、駅の構内で突然の爆風に襲われる。爆弾テロか毒ガスかと瞬間的に思うが、風は一瞬にしてやんでしまう。どうやら周囲の誰もこの風を感じなかったらしい。ようやく到着した会場では、病気や離婚といった話題ばかりを友人たちが口にしているのを耳にする。そして、ホテルに帰るため、地下鉄に戻ったトムは、ふたたび暴力的な“風”に見舞われるのだった。20年前と明らかになにかが変わってしまったロンドンで、トムは“風”の謎を追って地下鉄を巡る…。やがて誰にでも訪れる人生のその時を、迫真の筆致で描いた表題作(ヒューゴー賞受賞)。ベヴァリーヒルズのセレブを相手に、いんちきチャネリングで荒稼ぎする女霊媒師に、ある人物の霊が憑依する。その人物とは、オカルト詐欺やニセ科学を批判しつづけた実在のジャーナリスト、H・L・メンケンその人だった…。サイキック商売を題材に描く傑作ユーモア中篇「インサイダー疑惑」(ヒューゴー賞受賞)。クリスマスが近づくなか、街では少しだけおかしなこと(みんなが動く歩道の片側をきちんと空けて立つ、帽子をかぶる人が急に増えた)が起こり始める…。侵略SFコメディ「ニュースレター」(ローカス賞受賞)。ユーモア、コメディからシリアス短篇まで、SF界を代表する小説の達人の傑作5篇を厳選。物語を読む愉しみにあふれた日本オリジナル作品集。(Amazon

 内容紹介長っ!笑
 期待を裏切らず面白かったー。ラブコメがいいね。ラブコメってカテゴリじゃないのかもしれないけど。そうだな。ラブコメが主なテーマではなく、SFやファンタジーめいたネタが主軸にあるからこそ、ラブコメ部分を楽しめるんだ。わかったぞ。
白亜紀後期にて」はさらっと読もうとすると登場人物が多すぎてこんがらがるタイプの話でした。なのでよくわかっていない。
「ニュースレター」、宇宙人が帽子や鬘を隠れ蓑に侵略するってのがまた滑稽で。もう一つのクリスマス話、「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」は思惑通りにラブを応援したくなったっていうか(笑)いいじゃない! さっさとくつきなさいよ! ベタなラブコメ有川浩に似ているってのは少し分かるな。話自体というより読者として抱く感情とかが。
 表題作は重めだったねえ。でもああいう結末でよかったよ。
 最後の「インサイダー疑惑」が一番好き。どう考えても面白いだろ。特に最後の一ページのやり取りがたまらない。ああいう直接的すぎてそこだけ読んだらさっぱり意味の分からないやり取りって素敵よね。読者を微笑ませるね。ネタも面白かったし、ラブもよかったし、読みやすかった。
 (ラブ)コメディがうまいってのは才能としか……ううん、いや、ウィリスは全部計算しつくしているのか。計算でできることだとしたら、それもやはり才能か。まだ長編コメディである『犬は勘定に入れません』を読んでいないので、三月中に借りてしまおう。そのためにジェロームまで読んだんだから!