Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

津原泰水『ブラバン』  ★★★★

ブラバン
ブラバン
津原 泰水
 大麻を隠し持って来日したポール・マッカートニーが一曲も演奏することなく母国に送還され、ビル・エヴァンスジョン・ボーナムジョン・レノンまでも死んでしまった、1980年(昭和55年)。醒めた熱狂の季節に、音楽にイカれバンドに入れあげるボーイズ&ガールズが織り成す、青春グラフィティ。クラシックの、ジャズの、ロックの名曲にのせ、総勢三十四名のメンバーたちが繰り広げる、大群像劇。四半世紀の時を経て僕らは再結成に向かう。吹奏楽部を舞台にしたほろ苦い「青春」小説。(Amazon

 再読で泣いた……!笑 近頃涙腺が緩んでいるらしいわ、特に青春を振り返る系だったもんでぼろぼろだよ。でも本当によかったよ。去年から好き作家フィルターを装備したってのもある。最初に読んだときは登場人物の多さにうんざりしてたけど、二度目ともなるとうっすら覚えているものです。前に読んだの、ちょうど二年前かあ。ただ再読でも、ふっと過去に飛んだり現代に戻ったりと入り乱れた時系列はややこしかった。最初から最後まで一貫して見せているんじゃないんだよね。主人公の手記という形のようなので、そのときそのときに思い出した話が出てくる。
 やっぱり笠井さんと唐木のエピソードはいいと思う。用賀さんや辻さんも最高だし、桜井さんの強引さもいい。青春って素晴らしい。最中にいるとわからないけど、学生時代が過ぎ去ってみるとだめだね。
 これって半分私小説? 津原さんもコントラバスだったんだもんね。『赤い竪琴』も楽器への愛が溢れてた。確か今もバンドやってたりするよね。吹奏楽複数人でやる音楽に憧れのある人間としては一員になりたかったです。一人でできるからピアノが好きってのもあるけれど。