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続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

有栖川有栖『幻想運河』  ★

幻想運河
幻想運河
有栖川 有栖
 アムステルダムに居ついたシナリオライターの卵・恭司は、彼の地で発生したバラバラ殺人事件の渦中に巻きこまれてゆく……。全編に乱舞する薔薇のイメージ、アムステルダムと大阪、二つの水の都をめぐる詩美性あふれるミステリとロジックの急流!まぎれもなく、有栖川ミステリ裏ベストワン。(Amazon

 ミステリじゃないなら非ミステリだと先に言ってくれ! いくらトンデモだろうと(それこそ『乱鴉の島』並だとしても)ちゃんと落ちてくれるのかも思ってた。くっそー。有栖川ならまあ本格だろう、と勝手にあたりをつけたのは私ですけど……。ぐぬぬ、悔しい。すっきりしない。すっきりしたかった! 要素は面白かっただけに残念。残念すぎる。何だか風呂敷を畳めずに終わる恩田作品の一部を連想してしまった。謎を解いてこそのミステリだと思うから、これはミステリではなく幻想小説です。