Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

本多孝好『真夜中の五分前』  ★★

真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A 真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B
真夜中の五分前five minutes to tomorrow
本多 孝好
 小さな広告代理店に勤める僕は、学生時代に事故で失った恋人の習慣だった「五分遅れの目覚まし時計」を今も使っている。その五分ぶん、僕は社会や他人とズレて生きているようだ。そんな折り、一卵性双生児の片割れ「かすみ」と出会う。かすみは、双子であるが故の悩みと、失恋の痛手を抱えていた。かすみの相談に乗り、彼女を支えているうち、お互いの欠落した穴を埋め合うように、僕とかすみは次第に親密になっていく―。(Amazon

 再読。文章は本当に好きなんだけど、この話は別に好きじゃないや(笑)言うなれば「僕」が他人に思われているような感じだな。狙ってたのかな。静かに暗い話だ。少し白く濁ったガラスみたいな。
 作風としては『MOMENT』までの短く気のきいた、若くありながら達観した話が好きなんだけれど、『チェーン・ポイズン』の文章には全然ひっかかるところがなかったので、どうだろう。前のような短編も書きつつ引き続き長編頑張ってくださいって感じかな。何度も言うけどすごく好きなんで、読み返す本が増えるだけ嬉しい。