Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

梨木果歩『村田エフェンディ滞土録』  ★★★★☆

村田エフェンディ滞土録
村田エフェンディ滞土録
梨木 香歩
 町中に響くエザン(祈り)。軽羅をまとう美しい婦人の群れ。異国の若者たちが囲む食卓での語らい。虚をつく鸚鵡の叫び。古代への夢と憧れ。羅馬硝子を掘り当てた高ぶり。守り神同士の勢力争い―スタンブールでの村田の日々は、懐かしくも甘美な青春の光であった。共に過ごした友の、国と国とが戦いを始める、その時までは…。百年前の日本人留学生村田君の土耳古滞在記。

 これは反則っ……! 泣いた! 元々過ぎ去りし日々系には滅法弱いものの、これはもうね。泣くよ。トルコを旅行した経験もあいまって泣けてしまった。外人名はちょっとと思って読んでいなかったけど、同軸の『家守綺譚』より好きだ。これはいい。文章もとてもよくて、私にはセピアがかった映像が浮かんだ。しみじみと思い返したくなる一冊。
 ムハンマドとディミトリスとオットー……。うわーん。
 トルコといえばチャイばっかり飲んでいたんだけど、あのおっさんたちコーヒーも好きなんだ?