Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

辻村深月『スロウハイツの神様』上  ★★☆

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)
スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)
辻村 深月
 ある快晴の日。人気作家チヨダ・コーキの小説のせいで、人が死んだ。猟奇的なファンによる、小説を模倣した大量殺人。この事件を境に筆を折ったチヨダ・コーキだったが、ある新聞記事をきっかけに見事復活を遂げる。闇の底にいた彼を救ったもの、それは『コーキの天使』と名付けられた少女からの百二十八通にも及ぶ手紙だった。事件から十年―。売れっ子脚本家・赤羽環と、その友人たちとの幸せな共同生活をスタートさせたコーキ。しかし『スロウハイツ』の日々は、謎の少女・加々美莉々亜の出現により、思わぬ方向へゆっくりと変化を始める……。(Amazon

 アパートの人物紹介を見て青春群像物かーと思ったら、メインの登場人物たちは青春と言うにはちょっと年を取りすぎてた。20代半ば~30歳ほどでいいのよね。しかし本の描写からは大学生にしか見えない。そんなきちんと生活しているようには見えないぞ……。
 あとはっきり言っておくと、ゴスロリで固めた女の子は、例えいくら綺麗であれど、「痛い」というレッテルを貼られるものだと思う。辻村さんの本は割とはっきりした痛さが感じられるんだよなー。登場人物の内面をえぐる、という意味の痛さじゃなくてね。私がオタクゆえその辺の感覚に過敏になってしまうせいなのか?
 中身は、謎を漂わせながらもなかなか提示してくれないので結構だれている。もっと! さくっと! 言いたいことを言ってくれ! でも読者の気を引くのはうまくて、下巻まで一気に読んでしまった。
 クリエイターの卵たちを見ながら、何かをつくりだすこと、について考えた。