Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

シオドア・スタージョン『輝く断片』  ★★★★

輝く断片 (奇想コレクション)
輝く断片 (奇想コレクション)
大森 望
 雨降る夜に、瀕死の女をひろった男。友達もできず顔も醜い孤独な男は決意する。おれやる、全部やる……。「自分がいままで書いた短篇の中でももっとも力強い作品」と著者みずからが語る表題作「輝く断片」、スタージョン・ミステリの最高傑作「マエストロを殺せ」、先駆的なサイコサスペンス「君微笑めば」ほか、高密度なミステリを5篇、さらに彩り豊かなオードブルとして、コメディ調ファンタジー「取り替え子」、奇妙な味の「ミドリザルとの情事」、愛すべき「旅する巌」の3篇をとりそろえた名作の饗宴。

「名作の饗宴」という文句がふさわしい短編集でした。
「ルウェリンの犯罪」は巻末の解説通り、笑っちゃうようなネタなのに、ものすごい緊迫した話になっている。「輝く断片」は読後実際殴られたような気分になるな。胸に重石がずっしりと……。以上二つがお気に入り。★五つ。「ニュースの時間です」はたっぷりした地の文がとても読みやすかった。SF短編の、人の人生を早送りしたような話が好きなんだ。逆に「マエストロを殺せ」は面白かったんだけど、そこまでではなかったかな。前に読んだ「ぶわん・ぱっ」もあんまりだったから、音楽ネタが合わないだけかもしれない。