Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

森奈津子『先輩と私』  ★★★★

先輩と私
先輩と私
森 奈津子
 女子大生・光枝は、好色文学研究会の一員。官能小説を書いては妄想に浸り、自慰に耽る日々。そんな折、ライバル団体であるエロティック文学研究会の会長・華代から、引き抜きの誘いを受ける。やがて華代のたくらみは度を越したものとなり……、光枝は、禁断のレズビアンの悦びに目覚めることとなる。爆笑スラップスティックレズビアンコメディ長篇。(Amazon

 紹介文の時点でおかしいですね。先輩と私の属する好色文学研究会は自慰による女性の自立を、ライバル関係にあるエロティック文学研究会はレズビアンセックスによる女性の解放を目指し、エロ小説の執筆に勤しんでいる。……正しいけど、おかしいですね。もうあっぱれとしか言えない。中身も、めくるめくエロと笑いの連続。エロに対する姿勢があまりにも開放的で前向き。人生楽しまなくちゃ損よね、と思えてくる。セックスってはたから見ると滑稽だし。
 ちなみに私は、自慰は人類最高の発明であり、娯楽であり、見知らぬ人々を性的に興奮させて自慰に至らしめるための官能小説執筆を世にも尊い仕事であると信じています。(中略)
 つまりは、年齢や性別やセクシュアリティに関係なく、世の人々に自分が執筆した官能コメディを面白がってもらい、ついでにオカズとして楽しんでいただくことは、私にとって身に余る光栄というものなのです。(あとがき)

 あっぱれ! 官能小説家の鏡!笑
 あー楽しかった面白かった。300ページのうち何ページが性描写なのか、割合を調べてみたいくらいだ。三分の一は確実にいくと思うんだけど、どうだろ。