Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

コニー・ウィリス『ドゥームズデイ・ブック 上』  ★★★☆

ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
ドゥームズデイ・ブック〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
コニー ウィリス,Connie Willis,大森 望
 歴史研究者の長年の夢がついに実現した。過去への時間旅行が可能となり、研究者は専門とする時代を直接観察することができるようになったのだ。オックスフォード大学史学部の女子学生キヴリンは、実習の一環として前人未踏の14世紀に送られた。だが、彼女は中世に到着すると同時に病に倒れてしまった……はたして彼女は未来に無事に帰還できるのか? ヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞を受賞した、タイムトラベルSF。(Amazon

 SFはあらすじを読んでおかないと何を言っているのかさっぱり、ということが多々あるんだけど、ウィリスはそんなことないので安心して読める(笑)『犬は勘定に入れません』を読むために、先に執筆された姉妹編を。犬はコメディだけど、こっちはつらいって聞いてるんだよな……怖い。
『航路』同様、コミュニケーションがうまくいかない様が存分に描かれている。これが持ち味なのかしら。それともウィリスの身近に意思疎通を図るのに大変な忍耐を要する人がいるのか(笑)話が伝わらない! 何だってこう思い通りにいかないんだろう! と読者をやきもきさせるのが死ぬほどお上手です。
 ギルクリストはまんまマンドレイク@航路だね。しかしダンワージー先生は心配しすぎだろう。いくら心配しても足りないし、実際ギブリン(語感がゴブリンみたいだから男性なのかと思った)はインフルエンザにかかって大変な目にあっているとはいえ、娘か恋人かというくらいの焦りっぷり。
 コリンはメイジー役みたい。ひたすら母親を好いているのがいじらしくてかわいい。登場する子供はいつも応援したくなっちゃうような子ばっかり。
 さて、覚悟して下巻に取り掛からないと。