Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

ジーン・ウルフ『デス博士の島その他の物語』  ★★★★

デス博士の島その他の物語 (未来の文学)
デス博士の島その他の物語 (未来の文学)
ジーン ウルフ,Gene Wolfe,浅倉 久志,柳下 毅一郎,伊藤 典夫,伊藤 典夫,柳下 毅一郎
「だけど、また本を最初から読みはじめれば、みんな帰ってくるんだよ…きみだってそうなんだ」孤独な少年の元に物語の登場人物が訪れる―ウルフの代表作にして不朽の名作「デス博士の島その他の物語」、治療を目的とした島における少年たちの非情な運命を詩情豊かに描き出すネビュラ賞ローカス賞受賞作「アイランド博士の死」、冷凍睡眠から目覚めた男を待ち受けていたものは…「不死」のテーマをサスペンスフルに展開する「死の島の博士」、文明崩壊後のアメリカでの謎と幻惑に満ちた彷徨を流麗な筆致で綴る「アメリカの七夜」、目の見えない少年が繰り広げる夢と奇蹟と冒険の物語「眼閃の奇蹟」、そして限定本に付された著者による「まえがき」を特別収録。「もっとも重要なSF作家」ウルフの傑作中短篇を集成。(Amazon

 とても 難しい !
 「SFが読みたい」ランキングの常連だったようなので借りてみた。まず前書きがすごい。というか私には「島の博士の死」が一番面白かった。これは素晴らしいな……! とわくわくして読み進める。
「デス博士の島その他の物語」は子供を扱ってることもあり、読みやすい。現実と幻想が入り混じってくらくらするあれね。「アイランド博士の死」で困難を感じ始める(笑)「死の島の博士」は冒頭でつまづいて最後に残し(読んでみたら割ととっつきやすくてぐいぐい読めた)、ラストの「眼閃の奇蹟」に飛んでみる。これまた子供が出てきて、オズの魔法使いのオマージュ(と言うのかしら)で、終盤の黒人と白人の下り、それぞれの人にとっての現実が面白くて、二番目に好きになった。「アメリカの七夜」はとても読みやすい。アーディスの裸体、どんなんだったんだろう……。しかし後書きにあるようなことはさっぱり気にせず読み終わる。そんなん推理する忍耐はない。
 ウルフが「再読によって喜びが増すもの」こそいい文学だと言っているように、さらっと読んでも全く理解できないんですよ。種が。全て意識的に書いているらしいので、熟読すれば色んな仕掛けが見えるんだろう……しかし……楽な読書に慣れきった私にはそれが難しい。いや、一回さらっと読んだだけでも面白いんだけど、そういうのに気付けないというフラストレーションが溜まるわけで(笑)物覚えと頭の悪い私がチャレンジするにはハードルが高いかも。言葉の魔術師かあ。
 自分で考えて見つけることがいかに大切で、読書の楽しみをもたらすか。わかっちゃいるけど頭を働かせる余裕が今はない! ひたすら受動的な読書をしたい! のでケルベロスは暇になったら読みますね。