Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

舞城王太郎『SPEEDBOY!』  ★☆

SPEEDBOY! (講談社BOX)
SPEEDBOY! (講談社BOX)
舞城 王太郎
「孤独だからいいんだ。孤独だからこそ速くなれる」 友人、家族、世界、愛――。すべてを置き去りにして、鬣(たてがみ)の生えた少年スプリンター・成雄はスピードの果てを追う! 『群像』掲載に修筆・訂正を加えて単行本化。

 設定から『山ん中の獅見朋成男』の続編かなーと思いきや違った。記事書くためにタイトル探して気づいたけど、字も違うのね。こっちは雄か。
 それにしてもさっぱりわかりませんでした。というのも、私は長編のつもりで読んでたんだよね。Amazonレビュー見ると、ちょっとずつ世界のずれた短編集として楽しむのが正しいようね。しくじった。
 まず成雄=成男だという勘違いしたのが第一の誤りで、更に全ての成雄が一つの時間軸を辿っていると思い込んだのが第二の誤り。そりゃ意味わからないはずだわ。成雄の両親との絡みは過去なんだな、で乱暴に片付けたけど、楠夏との出会い方がばらばらだったのは得意技:妄想の私でも捏造不可でした。何が起きたの? と最後までさっぱりわからんまま読了し、舞城は好きだったはずなんだけどな……とがっくりしていた。
 私の読解力がないのは力強く認めるさ、でもやっぱ不親切設計だと思うよ。家族と福井へのこだわりはお変わりないようで、それは嬉しいけど、もっとガツンと熱く愛を語ってほしいとも思う。愛を語ってほしいと他人に思わせられる作家なんて数少ないんだし(偉そう)。新刊はミステリらしいけど、評判はどうなんでしょうか。