Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

津原泰水『アクアポリスQ』  ★★

アクアポリスQ
アクアポリスQ
津原 泰水
 水没都市Q市の沖合いに浮かぶ人工島「アクアポリス」。この水上都市が建造された背後には、国家規模の陰謀を封じる仕掛けが隠されていた。Q市壊滅のため、伝説の牛鬼を召還しようとする政府の要人たち。その計画を阻止するべく、現われた女設計士「J」、自分の故郷を守ろうと立ち上がる少年「タイチ」。異能の鬼才・津原泰水が近未来を舞台にはじめて挑む本格ビルドゥングスロマン。(Amazon

 この人って結構唐突な文章の書き方(繋ぎ方?)をすると思うんだ。勝手に煙に巻かれそうになる。無駄な説明はあんまりないというか、田中芳樹みたいにこれでもかこれでもかと親切に設定を連ねてくれないので、さらっと綺麗ではあるものの重厚さが足りない気がする。もっと細々と並べ立ててくれてもいいのにな。感情移入する人もいないし若干置いてけぼりだから。文章は文句なしに好きなんで読んでるだけで快いんだけどね。
 本書は少年トレチアや妖都のように現代ベースではなく、最初からSFなので、今まで読んだ中でのとっつきにくさは一番だった。津原さんはSFとホラーと現実感の間を漂っている本が多いけれど、私の好みとしては 非SF/ホラー>混SF/ホラー>純SF/ホラー です(笑)今のとこ、ルピナス探偵団がベストかなあ。少女小説向いてますよ絶対。北村薫なんかよりよっぽど女を描いてる。もちろん伯爵シリーズも最高だけどね! 続編出てほしいな。
 津原さんは一人称がいいのかも。