Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

アラン・バーナード『文化人類学の歴史と理論』

人類学の歴史と理論 (明石ライブラリー)
人類学の歴史と理論 (明石ライブラリー)
Alan Barnard,鈴木 清史
 人類学は国ごとに異なる伝統によってどう定義されてきたのか、理論と民族誌の関係、共時的/通時的分析法の区別などの問題に焦点をあて、理論と実践とが深く結びついた人類学という学問の歴史と理論について解説する。

 面白かったよ! この人、言葉きついんだもん!笑 オブラートに包んでやんわり、ではなくてズバズバ言ってしまう感じ。あえてその言葉を使うんだね! みたいな。タイラー以前の流れはパスしてもいいか、と飛ばし気味でしたが(そもそも勉強していないから理解以前の問題)楽しく読んだよ。
 一番は何といってもボアズの死に方でしょう! 学会か何かで発言している最中にぱたりと亡くなられる、って不謹慎だけどすごいドラマティックだ。しかも隣にいたレヴィ=ストロースの腕の中で……どうして今まで読んだ概説書は全然言及してくれなかったんだろう……。
 そして面白いのは著者アラン・バーナードだけではありません。翻訳者の鈴木さんも相当です。あとがきは「友達のことを博士とか教授とか呼ぶのくすぐったいからバーナードさんて呼ぶね!」(意訳)からはじまり、自分のペットの犬の死で締めくくるという唐突さ。ファンタスティックです。読点の付け忘れや脱字が頻発していたのも、あとがきのおかげで可愛らしく見えてきました。