Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

森絵都『ラン』  ★★★

ラン
ラン
森 絵都
 昨今の女流作家ランニングブーム(笑)があったから、これも男子中学生が陸上を頑張っている話だと思いきや主人公は22歳フリーター女性でした。系統としては『カラフル』の方。でも、スポーツとしてのランについてもさらっと触れている感じ。安定して面白いのでこれからも期待できるなあと思った。
 生死を暖かく扱うのがうまいよね。絶対泣いちゃうし、私もこつこつ生きていこうって思えるし、読者の背中をふわっと押してくれる前向きさがあるよ。文体がかなり砕けてて最初は違和感覚えたけど(直前に漱石読んでたせいかしら)、すぐに慣れた。一気に読めてしまえる量だった。こんな厚くする必要はあるのだろうか……スカスカじゃないと売れないって話は聞くけど。内容的にも文字組的にも、ヤングアダルトと言えなくもないよね。こういう作風もやってくれるのは単純に嬉しい。