Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

夏目漱石『坊っちゃん』  ★★★★☆

坊っちゃん (新潮文庫)
坊っちゃん (新潮文庫)
夏目 漱石
 これは面白かった! 今まで読まなかったのを後悔したよごめん漱石! 著作の中でも一番親しみやすいね、文体・キャラクター造詣・ストーリーなど全ての面において。清には泣きました。
 一本気な江戸っ子「坊ちゃん」が四国・松山の中学校でくりひろげる痛快物語。不器用ながら正直に生きる主人公の姿に清々しい反骨精神が光る、漱石文学の珠玉の名作。

 場面転換に注目してみたら繋がりが見えてきた気がするよ。まあ今更私なんぞに言えることはないですけどね。文学的かと聞かれるとあまりそんな感じじゃないね。要するに起伏があって読みやすいんだ。文体に幅があるってのがようやっとわかりました。これも漱石なのかと思うほど砕けてるもん。駄洒落も挟むし会話はユーモラス。おれと山嵐の竹を割ったような付き合いは見ててすがすがしい。
「しかし要するに二人は敗北したんだ、だから寂しさが漂っているんだ」と解説にはあったけれどデリカシーの欠ける私には後味すっきり爽快だった。やっぱ清がいいんじゃないかな。清とうらなり先生。