Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

ヤコブ・ラズ『ヤクザの文化人類学』  ★★★★☆

ヤクザの文化人類学―ウラから見た日本
ヤクザの文化人類学―ウラから見た日本
ヤコブ・ラズ, 高井 宏子
 ヤクザにどんなイメージがありますか? 私は浅田次郎と北方健三のお陰で古きよきヤクザが脳内にこびりついている。弱きを助け、強気をくじく! 義理と人情を重んじ親分のためには命すら惜しまない。ああ、素敵。萌える(だめだこいつ)。そんな感じです。実際、付録は読むたびにぐあーと悶え転がってフルチャージ。著者に申し訳ないな。ゼミの教授のお勧めリストに乗っていたから読んだんだけど。
 日本文化との対話――ヤクザの世界とはどんな世界か。組織の深奥に研究者として入ることを許された異色の文化人類学者が、その多様な現実の姿を「参与観察」として描き出した画期的な試み。そのことを通して日本文化とは何かを鮮やかに浮彫りすることに成功。5年間のフィールドワークに基づく本格的考察。(Amazon
 そんな偏見に満ちていたから、ヤクザの実情なんて全く知らなかった。うまく感想が言えないので、目次を引用する。
 第一章 他者/自己としてのヤクザ
 第二章 自己の一変形としての他者――ヤクザイメージ
 第三章 暴力とロマン
 第四章 ヤクザのアイデンティティと自己呈示――ヤクザテクスト
 第五章 ヤクザのアイデンティティと自己呈示――多層的自我と烙印
 第六章 ヤクザという烙印
 第七章 テキヤの日常――祭りと逆転
 第八章 逸脱と社会

 これにA親分の生き様と、ヤクザエピソードの付録が入る盛りだくさんな内容。うん、すごい面白かった。ヤクザに暴力団というレッテルが貼られたこと、ヤクザの人権問題、今後の展望、などなど。面白かったよ。読めばわかるので気になる人はぜひ。