Memoria de los Libros Preciosos

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P.G. ウッドハウス『よしきた、ジーヴス』  ★★★★

よしきた、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
よしきた、ジーヴス (ウッドハウス・コレクション)
P.G. ウッドハウス, Pelham Grenville Wodehouse, 森村 たまき
 笑った! これは笑うよ! 最後のオチも最高です。漫画化、心からおめでとうございます。
 英国の国民的作家ウッドハウスの「ジーヴス物」から傑作を厳選したコレクション第2弾。お笑い街道ばく進中! 英文学史上もっとも滑稽な数十ページ、といわれたキテレツ表彰式の章を含む長篇。(Amazon
 『比類なきジーヴス』はそんな面白い印象なかったんだけどなあ。所々笑ったけど、英国貴族に馴染めなかったというか。今回は漫画化によるビジュアライズ(バーティは本当にGJ、可愛い。この顔でアヒル浮かべてると思うと死ねる)に助けられたせいか、訳者が後書きで記しているようにジーヴスシリーズの中でも傑作なせいか、すらすら最後まで読めた。止まりたくなかった。オースティンとか読んでみたのがきいたかしら。好きな人に薦められたからかしら。
 色んなところで問題が浮上し、不調そうなジーヴスに代わって解決してやろうとするバーティ。しかし彼の計画はことごとく悪い結果を導く(笑)ああ上手くいきそう、と思わせておきながらぶち壊す。にっちもさっちも行かなくなって、真打登場ですよ。
 バーティの空回るお馬鹿っぷり(特に他人からのひどい評価)とセンスのなさが素晴らしい。そこでただのお馬鹿にならないのは、悲観主義者なんてとんでもない、根っからの善人で愉快な人だからだと思う。頑張ってバーティ! たまにはジーヴスを出し抜いてやって! とお馬鹿な私は真剣に応援してしまう。
 でもね、やっぱり面白いわ。笑いものにされているバーティは。全てをうまく取り計らったジーヴスも。有能すぎる執事だな! 自分にはついてほしくないな!笑 他人をこきおろしていても愛が感じられるので気分よく笑えます。
 くどいと思っていた描写も慣れてしまえば大丈夫。そのくどさが笑いに繋がる。続きも読もうと思う。帝国主義の香りを感じつつ。
 そもそもジーヴスを読もうと思ったのは、随分前に別の好きな人が絶賛してたからなんだよなー。誰だったっけ。
 こんなに笑いをとられると、英語で読みたくなるな。「よしきた」って何て言ってるんだろう? と思ったら「right,ho」みたいですね。こいつらホーホー言いすぎだよね。「ご主人様」って「Sir」かなあ。洋書、図書館にリクエストするべきか。