Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

夏目漱石『こころ』  ★★★★☆

こころ (岩波文庫)
こころ (岩波文庫)
夏目 漱石
 今更な一冊。高校時代に挫折したんだ確か。年を重ねた今はどうして挫折したんだろ? と思います。面白くてすぐ読み終えちゃった。
 親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、自らも死を選ぶ孤独な明治の知識人の内面を描いた作品。鎌倉の海岸で出会った“先生”という主人公の不思議な魅力にとりつかれた学生の眼から間接的に主人公が描かれる前半と、後半の主人公の告白体との対照が効果的で、“我執”の主題を抑制された透明な文体で展開した後期三部作の終局をなす秀作である。(Amazon
 まず文章が本当に好み。美しい。ねちっこくなくていいです。石を漱ぐって字がぴったりだよ。こんな文章が書けたら!
 アメリカではゲイ文学とも言われるようですが、ゲイではないだろうよ! そう称するとわびさびみたいな日本的な性質がなくなる気がする(笑)ゲイって言葉のせいか。同性愛って呼ぶとそうでもないもんな。でも同性愛とは思いませんでした。そこがいい。憧憬や尊敬や嫉妬、が行き過ぎてしまった感じ、いいですよねー。私と先生とKの織り成す関係性がたまらんね。
 今になって楽しめるってのは私のオタクスキルが上がったからかもしれない……(遠い目)