Memoria de los Libros Preciosos

続きを読むとクリティカルなネタバレがあります

武田龍夫『物語 北欧の歴史』 ★★★

物語 北欧の歴史―モデル国家の生成 (中公新書)
武田 龍夫
 物語、と銘打たれているだけあって、なかなかドラマチックな描き方をしていた。ヘタリア効果も相まって国たちにすごい感情移入(笑)特に、ノルウェーフィンランドが長い間一緒にいたデンマークスウェーデンと離別するときなんて! 涙が出そうになりました。
 中世においては西ヨーロッパの人々を恐怖に陥れたバイキングとして、現在では高度な福祉を実現させた国家として世に名高い北欧の国々。その歴史は平坦ではなく、隣接する強国ロシアとドイツを交えた度重なる戦争や民族独立運動、緊迫した国際情勢の中での苦難に満ちた中立外交などからなる。本書はデンマークスウェーデンを中軸に、両国から分離・独立したノールウェー、フィンランドアイスランド北欧五カ国の通史である。(カバー折り返し)
 スウェーデン絶対王政成立期についてレポートを書くために本を探していたら、ちょうどいいボリュームの通史があったので。スウェーデンだけの本ってなかなかないんだよね。やはりマイナーなのか。色んな国が繰り広げる関係が好きな私としては、北欧史としてまとめて取りあげてくれるのは嬉しいけど、レポート書くには大変でした。ズバリって本はとっくに借りられてたりしてね。論文漁ったりした。
 北欧五カ国の通史を200ページにおさめようっていうんだから、かなり無理してる。何言ってるかさっぱりわからない部分も多かった。入門書ではあるけど、理解するには下地が必要。もしくはわからなーい! ってなって山川の北欧史に移るとか。
 二つの大戦あたりの記述に多くのページが割かれてますね。私が好きなのは17世紀くらいまでなんだけどね。本書が出版された当時、北欧の経済は大変なことになってたみたいだけど、今はどうなんだろ。福祉国家として安定したのかな。
 でも汎スカンジナビア思想のとことか、面白かったなあ! 第二次シュレスウィヒ戦争、スウェーデンと喧嘩ばかりしてたデンマークなのに、加勢を期待してたりして。スウェーデンデンマークを支援してロシア様が介入してくることを恐れ、踏みとどまったようです。その結果デンマークは屈服。奪われた地は、最後にはプロシア領に。
 第二次大戦でも、北欧の国々はロシア・ドイツにより酷い目に合わされたみたいですが、中立政策をとってるから表立った反抗ができなかったりとか。もう 泥沼 じゃないですか。燃え滾るね。もっと歴史を勉強しようという気にはなりました。